是正勧告対応について

是正勧告とは、労働基準監督署から出される行政指導のことです。労働基準法等に関して、「現状を法律に適合するように改善しなさい」という指導です。

一番わかりやすい例は、「サービス残業」つまり、残業代を支払わずに残業させる企業に対して、「未払いの残業代を支払いなさい」というものです。労働基準法によると、労働基準監督官には、司法警察権(=逮捕、送検する権利)を与えられていますので、この是正勧告に従わないと、最悪の場合、労働基準法違反で、強制捜査を受けたり、逮捕されたりするという事態もじゅうぶん考えられます。

最近、沖縄県内でも、某流通王手企業が、従業員から、残業代の未払い分の支払を求めて訴えられる事態が発生しています。まだこのケースで「是正勧告」出されたかは、定かではありませんが、是正勧告は、こういった従業員からの「申告」によるケースが多いようです。

もし、仮に「未払い賃金」の件で「是正勧告」が出されるとすれば、企業は、残業代の支払を過去にさかのぼって求められるのはもちろん、社会的な信用を大きく損なうことは間違いありません。

したがって、「是正勧告は」受けないように、労働法制を守ることが第一です。しかし、もし受けてしまったらどうすべき対応したらよいか・・・?―なかなか社会的にも知られていない部分ではあります。

以下では、「是正勧告」について解説してまいります。

是正勧告の主な種類

違反事項 法律違反内容
労働条件を労働者に明示していない 労働条件明示義務の違反
(労働基準法第15条違反)
1日8時間または1週間に40時間を超えて労働者を働かせた 法定労働時間遵守義務の違反
(労働基準法第32条違反)
36協定(時間外労働、休日労働をさせる際に必要となる労使協定)を労働基準監督署に届け出ていない 労使協定の届出義務の違反
(労働基準法第36条違反)
残業代を払わずに残業をさせた(サービス残業をさせた) 割増賃金支払義務の違反
(労働基準法第37条違反)
10名以上の労働者を雇用しながら、就業規則を作成・届出していない 就業規則作成・届出義務の違反
(労働基準法第89条違反)
労働者の定期健康診断を実施していない 健康診断実施義務の違反
(労働安全衛生法第66条違反)
極端な長時間労働をさせている(いわゆる過重労働をさせている) 安全配慮義務の違反
(労働安全衛生法第23条〜25条違反)
労働者名簿を調製していない 労働者名簿調製義務の違反
(労働基準法第107条違反)

労働基準監督官の「臨検(監督)」とは・・・?

労働基準監督官の立ち入り調査のことで、労働基準法や労働安全衛生法の違反事実がないか調査し、是正することを目的としたものです。労働基準監督官による「臨検監督」(略して「臨検」)には次の4種類があります。「臨検」で違反事実が発見された場合に、是正勧告を受けることになります。

1.定期監督

労働局及び労働基準監督署の年度計画(労働行政方針)に基づき実施される検査です。主に建設業、運送業、危険有害業務を行なう製造業等が対象になっています。

2. 再監督

定期監督で是正勧告などを受けた事業所を対象に、その後の是正措置実施状況を確認する為に行なわれる検査です。

3.災害時調査

一定以上の労働災害が発生してしまった場合に、実態を把握し、原因を究明するために行われる調査です。

4. 申告監督

労働者の「申告」を受けて行われる検査です。現場を見なければ労働法令違反状態の確認が出来ない場合を除き、事業主に「労働基準監督署への出頭命令」をすることによって行なわれるケースが多いようです。

最近では、この「申告」による臨検が増えているようです。

是正勧告を受けてしまったら・・・?

是正勧告を万一受けてしまったら、決して無視してはいけません。無視してしまうと、最悪の場合、逮捕、送検、そしてマスコミ等にも取り上げられてしまう事態も考えられます。そうなってしまった場合には、企業として、社会的信用が大きく失墜してしまいます。

一連の食品偽装事件に見られるように、コンプライアンス(法令順守)が重視される社会的風潮が高まってきていますから、その影響は、甚大です。

是正勧告を受けた場合には、所定の期日までに、是正報告書を労働基準監督署に提出する必要があります。

是正勧告を受けてしまった際には、労働法制にのっとった労務管理をおこなう絶好のチャンスであると前向きにとらえる必要があります。

沖縄労務管理センターでは、是正勧告に対応し、適正な労務管理をおこなうためのアドバイスをおこないます

是正勧告の内容に応じて、対応は異なりますので、料金につきましては、お見積もりさせていただきます。もちろん、是正報告書の作成までおこないます。